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読書ノート 第1回「世界の村おこし・町づくり」

4061490354_image.jpg
世界の村おこし・町づくり 
--渡辺明次著 --講談社現代新書 --1991

1991年に書かれたこの新書は、アメリカとヨーロッパの田舎の町おこしの例を取り上げ、分析したもので、
20年経った今読んでも古さを感じないものだったので、ちょっと紹介。富山大学高岡キャンパス図書館にて発見した本。

本書ではアメリカとヨーロッパの町づくりの実例を紹介しているが、
アメリカの例は、大規模開発的なところも多く、日本の農村的には参考にならなかったのだが
唯一、シェークスピア劇場で村おこしに成功したオレゴン州アッシュランドの例をさらっと紹介する。


大都市ポートランドから車で四時間のこの町は、80年代には9000人程度の特徴のない小さい町であったが
アメリカ一のシェークスピア演劇の町として年間28万人の旅行客を集めるまでに成長した。
1920年代に小さな村芝居から始まり、婦人会や演劇を専門とする大学教授の協力を得て現在の規模まで発展を遂げた。
ここのシェークスピア劇は時代にあわせて変化した演出は一切なく、原典に忠実であることを売りにしている。
16世紀当時の本物のシェークスピア劇を見られるということが話題になり人気になった。
loves-labor_wide.jpg
屋外劇場の写真

この劇は2月から10月まで毎日上演されている点が需要なポイントであると著者は述べる。
劇は毎日行われ、毎日がお祭りである。そのため年間を通じて雇用が生まれ、定住者に必要な収入が確保できる。
年間を通じてお客が来るので、ホテルやレストラン、近場の河を使ったアトラクションなども発展し、
劇単体の観覧料よりも、サービス業の収益のほうが大きくなった。

伝統的な祭りや映画祭など日本も多くイベントを行っているが、
これはせいぜい3日から5日程度の雇用しか生み出さないので、短期間で10万人を集めようと50万人を集めようと、町おこし効果は薄い。
日本(?)で言えば東京ディズニーランド型のやり方が一番答えに近いと自分は感じた。
ただ、このアッシュランドの土地とシェークスピアの間の歴史的関係は無いといえる。
町の歴史や伝統を使った町おこし以外は邪道という批判がでるかもしれないが、
この町の新しい歴史が生まれていると見れば、とやかく批判することでもないと思う。

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次はドイツのワイン造りが有名なベルンカステル村の例を紹介する。
ベルンカステル村は人口7000人のV字谷の村で、ぶどう栽培とモーゼルワイン(モーゼル河で作られるワイン)が有名なむらである。
歴史あるぶどう作りの村だが、栽培条件はあまり恵まれていない。
気候的にも緯度が高く、川沿いのV字谷の人が立てないような急斜面の土地を利用しているため
労働がきつく、機会化にもお金がかかる。
さらに土壌も深いところで1mしかなく、浅いところでは50cm掘ると岩盤にぶつかるという土地柄である。
Mosel-bei-Bernkastel-Kues.jpg ファイルZell-Mosel2
{ベルンカステル村 ぶどう農場}

しかしこのV字谷で反射する光と温かい空気が滞留する構造によって、長年高品質のぶどうを作ることができた。
DateiRiesling grapes leaves
{ベルンカステル村のぶどう。このあと白ワインになる。}

そのためここのワインは人気が高く、まずまずの収入を村にもたらしていたが、
世界のワインの生産過剰から、農家とワイン生産組合の収入は減少。
農家の収入は年間150万~200万程度。多くが兼業農家になった。


このような情勢を受けて、ベルンカステル村はワイン製造業から観光業に力をいれるようになった。
といっても大きなホテルを建てたり新しい名所を作ったわけではなく、
民宿を整備したり、観光客向けのレストランを整備したり、ワイン資料館を作ったりといった、観光客を受け入れる体制を整える小さな取り組みが主である。
ベルンカステル村はのどかなブドウ畑と、散歩ができるモーゼル河以外の、これといった名所はないが、
このような受け入れ態勢の充実によってフランスからのバカンス客を呼び込むことに成功した。
さらにリハビリ病院と老人ホームを作り、老年期を過ごす人々を呼びこむことにも成功した。
ワインが不振になったからといって、ワイン造りから撤退するのではなく、
今ある資源を再評価して町おこしを行い成功した例である。

他にもイギリスのウェールズ地方のある村では、昔は主産業であったフランネル繊維業を、化学繊維の台頭の影響で廃止することなく、
伝統的なヴィクトリア朝時代のデザインの洋服を作ることでローラアシュレイ(1953年創業)というアパレル企業を作り、
今でもフランネル繊維を使った洋服を作り、多くのファンを抱えるまでに成長し、フランネル繊維業はこの村の主産業で在り続けている。


筆者は最後に日本の村・町の町おこしについて述べている。
筆者いわく、日本の町おこしは山もあり川もあり海もある自然資源を使った、自然軸によって発展することが日本の町づくりの基本姿勢であるべきだという。
また、自然災害が少なく古くからの街並みが残るヨーロッパとは異なり、日本は地震や台風、洪水といった無常の国土であることを指摘し、
地域の自然資源の再発見を通して、町おこしの種を見つけていくことが、日本流町おこしのプロセスであると述べて結論としている。




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追記・カブトムシの配布は大盛況のうちに終了しました。
連絡があった欲しい人にはだいたい配り終え、現在はメスがわずかに残る程度です。
私の家の前のカブトムシ飼育場もだいぶ深く掘らなければ出てこない状況で、残ったわずかなメスは頭川の山に返す予定でいます。
ありがとうございました。
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テーマ : 田舎暮らし日記
ジャンル : ライフ

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